汐干塚
シオヒヅカ
(表)
青柳の泥にしたるゝ汐干哉
(側面)
安永二年春三月□日 村山利兵衛建之
■解説
松尾芭蕉の句碑で、その銘から村山利兵衛が1774年(安永2年)3月3日に建てたものらしい。句が芭蕉のものというだけで、当時の箱館と芭蕉は何の関係もない。
安永2年は、芭蕉の死から80年目に当るから、同好の士が集った追善句会などの際に、当時箱館湾内の汐干狩を遠望できた称名寺境内に、この句碑を建てたものであろう。
「青柳の……」の句は、芭蕉門人らによる俳諧撰集「炭俵」にある句で、1694年(元禄7年3月3日に詠まれた句である。
「村山」は、松前の場所請負人である村山家の5代目村山利兵衛のことである。
■参考文献
「函館市史」通説編第1巻(函館市 1974年)、「函館市史資料集」第27集・第46集(函館市史編纂委員会)